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476号

発行日2007年11月13日 476号
民放労連KBC映像労働組合 組合新聞


明日は一次回答指定日です。

部長代理の時間外手当の要求について

 この年末闘争では諸要求の賃金の項目について「部長代理にも時間外賃金・深夜割増賃金を支払うこと。」との要求を出しています。春闘要求に対し、会社は2007年5月2日の回答で、「部長代理に関しては、予算執行等含め管理・監督及び、機密の事項を取り扱う者に該当すると考えております。現場の仕事を兼務する者については職務手当てとは別に「勤務調整給」を支給しています。従いまして部長代理に時間外割増賃金は支払いません。」と答えていますが、組合は「部長代理は管理・監督及び、機密の事項を取り扱う者に該当せず、部長代理にも時間外手当は支払われるべき。」と考えます。今号では組合主張の根拠を示したいと思います。
 先に、わざわざ「深夜割増賃金」の項目を設置している点ですが、これについては部長代理だけでなく、部長であっても払わなくてはいけません。現在会社が時間外などの手当を払っていない根拠は労働基準法第41条にあると思います。その労基法41条には「労働時間等に関する規定の適用除外」が定められていますが、その第2項に「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者(経営と一体の者)」とあります。これはその役職の名称にかかわらず、この条件を満たす地位にあるものについては、時間外手当や休日出勤手当は支払わなくても問題ないという意味です。しかし、この定めの中には第37条の3項にある「深夜の割増賃金」は含まれていません。簡単にまとめると「払わなくても良い。」と決められている中に含まれていないので払わなくてはいけないのです。
 それでも「労働協約、就業規則その他によって深夜業の割増賃金を含めた所定賃金が定められていることが明らかな場合」は払わなくても良いのですが、会社と組合の間にこのような労働協約はありません。さらに賃金規定のどこを見ても、部長代理以上の手当に「深夜割増を含む」と明記している文言は一切なく「含まれていることが明らか」と会社が説明できる根拠はありません。だから、部長代理以上にも深夜割増賃金を支払わなくてはいけないと今回組合は主張しているのです。
 次に、「部長代理の時間外手当」ですが、そもそもKBC映像における部長代理が先述の「経営と一体の者」にふさわしいか否かが重要です。そもそも「経営と一体の者」とは「重要な職務と責任を有し、労働時間の規制になじまない立場の者」を指し(注:裁量労働とは別の話です)一般的には役職の呼称にとらわれず、実際の勤務時間が労働時間規制になじまない。労務管理や人事・労働条件の決定などで経営者と同列の権限を持つ立場にある。と考えられています。この「経営と一体の立場」かそうでないかを争った裁判を検索したところ数多く見つかりました。2つほど紹介しましょう。


 レストランの店長として仕入れや売上金の管理は任されていた。しかし、営業時間に拘束され、出退勤の自由はない。ウェイターや清掃などの仕事もこなしていた。アルバイトの採用に一部関与していたが、労働条件は経営者が決定していた。ということから経営と一体にあるとはみなされないとした。「レストラン・ビュッフェ事件(大阪地裁判決 昭61.7.30)」
 課長や係長に対し、タイムカードの打刻義務はないものの、就業規則上勤務時間の定めがあり、出退勤に事実上裁量がなかった。部下の人事考査にも一部関与していたが、支店長などの総合評価によるものだった。ということから同じく経営と一体とはみなされないとした。「東建ジオテック事件(東京地裁 平成14.3.28)」


 KBC映像の部長代理はそれぞれの部での仕事の割り振りや、発注先(カメラクルーやタレント等)の料金決定は任されています。しかし、取材や編集に縛られている以上、出退勤に自己裁量が認められているとはいえません。管理職という肩書きであっても、現場の業務をたくさんこなしています。部下の人事評定をつけてはいますが、最終決定は役員会で全て行っていて、その決定の会議に出席することすらできません。
 このようなKBC映像における部長代理の状況から考えると、今回紹介した2つの判例に見事に当てはまります。このような理由から、組合は部長代理には「勤務調整給」でなく「就業規則に則った時間外手当」を支払うべきできと考えるのです。



早朝出勤手当ての要求について

 年末要求の『賃金に関する要求』の2において、組合は「会社は、早朝出勤手当の適用時間を実際に出社した時間とすること。」という要求を出しています。
 これは、制作技術部に派遣されている者に、以前は支給されていた早朝出勤手当が、会社の『早朝勤務手当てが支給される時間は、実際の出社時間ではなく、その勤務シフトの開始時間による』と、適用時間の解釈を一方的に変更したことにより、手当が支給されなくなったことから出されている要求です。
 会社の賃金規定には、第3章 諸手当の(早朝出勤手当)第20条に『所定勤務の開始が午前5時以前で、早朝出勤をした者に別に定める早朝出勤手当を支給する。』と規定されています。
 制作技術部において「アサデス。KBC」の勤務シフトは午前5時30分から12時30分ですが、実際の出勤時間は午前4時です。
 会社は、前述の解釈をして『制作技術部の勤務シフトは午前5時30分からであるので、所定勤務の開始は午前5時30分からである。午前4時から午前5時30分までは時間外であり、時間外手当を支給しているので、早朝出勤手当は支給しません。』という説明をしています。
 しかし勤務シフトが午前5時30分からであっても、技打ちは午前4時30分から行われます。また、それまでにLサブの機器の準備をしておかなければならず、午前4時に出社しなければ「アサデス。KBC」を問題なくOAすることはできません。
 すなわち、きちんと業務をこなすためには午前4時に出社することが必ず必要であり、早朝出勤手当は支給されるべきであると考えています。
 そもそも、この早朝出勤手当は時間外の代わりでなく、早朝に出社してきたことに対する手当であると組合は考えています。
 午前4時出社という過酷な条件の中、放送の現場を守り、良質な番組を制作するために日々頑張って働いている労働者に報いるためにも、せめて早朝出勤手当ぐらいは支給されても良いのではないでしょうか。



 【 今後のスケジュール 】
11月14日(水)労連統一 年末要求一次回答指定日
「アサデス。九州・山口質問状」回答指定日
11月18日(日)第二回地連委員会   (福岡)
11月22日(木)長崎ビジョン地労委争議(長崎)
11月28日(水)労連統一 年末要求二次回答指定日
12月 1日(土)~2日(日) 労災職業病九州セミナー(鹿児島)
12月 2日(日)福岡国際マラソン


安定した雇用を勝ち取ることが会社を守ることにつながる
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2007-11-13 : 組合新聞 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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福岡にあるテレビ朝日系列の民放局、KBCの関連プロダクション労働組合です。2000年に労働組合が設立されました。このブログでは組合新聞をテキストベースで紹介していきます。ご理解とご支援よろしくお願いいたします。

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